大津聖マリア教会の伝道活動自体は1892年に始まりました。当初は別の場所の民家で活動していましたが、1899年には現在の場所で、書店を改造した礼拝堂で礼拝をしていました。しかしそこも老朽化がひどかったため、当時の一万円の予算で念願の新しい礼拝堂を建立しました。
現在の礼拝堂は1931年に建立し、翌1932年にニコルス主教によって聖別されました。設計・建築は宮川庄助という彦根の棟梁によるものです。宮川庄助は彦根出身で、日本聖公会彦根聖愛教会のアメリカ人牧師で英語教師パーシー・アルメリン・スミス氏と出会い、聖公会の信徒になりました。宮川庄助はスミス氏からプラットフォーム工法という今のツーバイフォー工法を学びました。そしてスミス氏が設計した彦根聖愛教会礼拝堂(現スミス記念堂)や、京都聖三一教会など、多くの聖公会の礼拝堂建築に棟梁として携わりました。大津聖マリア教会の設計は、宮川庄助がスミス氏の指導を受け、当時の教会委員との協議によってなされました。
礼拝堂に一歩入るとそこは聖なる空間です。これまで90年のあいだ捧げられてきた祈りがこの空間を成しています。祭壇の上に向かって広くスペースがあり、祈りが天へと昇っていくような雰囲気があります。また、赤い絨毯もまた、イエスキリストの赦しの血を表すように、神さまの存在へと入る者を招いています。
繊細で美しい彫刻が、祭壇をはじめ、会衆席や聖歌番号・教会暦板に施されています。また信徒の手による聖マリアや鳩や百合などのステンドグラスが、礼拝堂や玄関にはめ込まれています。また、大きな石でできた洗礼版にも彫刻が施されています。
信徒でない方も礼拝には参加されない方も、ぜひ一度お入りください。しばらくの静かな祈りの時もステキな体験ですよ。
耐震工事とエレベーター設置工事の記録です。
©︎ 日本聖公会京都教区 大津聖マリア教会